2025/07/17

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文化・社会

嘉義市が古い建物の「メイク落とし」、築100年の元料亭などがかつての姿に

2021/01/15
嘉義市忠孝路にあり100年の歴史を持つ元料亭の和風建築などが、同市の「古い建物の化粧落とし」プロジェクトによる修繕を経て、かつての輝かしい時代の姿を取り戻した。写真は「忠孝路32号」で交差点の角に面した2階のベランダ。丸窓と羽目板のペンキ、せり出したベランダが特徴的。左側に「新陽春中薬房」が連なる。(嘉義市提供、中央社)
台湾中南部・嘉義市忠孝路にある和風建築「忠孝路32号」(住所で呼称)と「新陽春中薬房」(新陽春漢方薬局)はいずれも100年の歴史を持つ建物。この和風建築はかつて高級「酒家」(料亭)兼旅館だった。このほど嘉義市文化局による「老屋卸妝」計画(古い建物の化粧落とし=建物の立面を建築当初の姿に復元するプロジェクト)による修繕を経て、これらの建物がかつての輝かしい時代の姿を取り戻した。
 
プロジェクトのリーダーである南華大学(台湾中南部・嘉義県)建築及び景観学科の陳正哲副教授によると、同プロジェクトでは8件が審査を通過しており、そのうち2件が「忠孝路32号」と「新陽春中薬房」。「忠孝路32号」は交差点の角から左右に伸びる連棟式で2階建ての和風建築で、1921年に建てられてから今年で100年となる。
 
「忠孝路32号」の前身は高級「酒家」兼旅館で、客は宿泊のほか美しい中庭や豪華な宴席を楽しむことが出来るなど、当時ではかなりの規模だったという。その後は住居へと転じたが、三方が窓のこの建物は2階の丸窓やアーチ形にせり出したベランダ、外壁の羽目板の着色など往時の輝かしい時代の姿が見て取れる。
 
嘉義市文化局によれば、「忠孝路32号」と連なる「新陽春中薬房」も100年の歴史を持つ建物で1階が店舗、2階が生活スペース。日本の「黒瓦」が今も残っており大変貴重だということ。陳正哲副教授は「黒瓦」とセメント瓦との違いを指摘、「黒瓦」は陶器瓦で、高温で焼成することで非常に美しい光沢が出ると説明している。
 
「新陽春中薬房」の二代目、殷裕祥さんによると、今年83歳の父親は若いころに台南市(台湾南部)から一旗揚げようと嘉義市に出て来たとのことで、この建物は言わばその「起家厝」(事業の発祥地)。殷裕祥さんはこのため、この建物は大切に扱われるべきだと考え、「老屋卸妝」のプロジェクトにすすんで参与した。修繕の結果、「思っていたとおり、きれいになった」と喜んでいる。
 
嘉義市文化局は、「老屋卸妝」計画は建物の表層部分の修繕のみならず、雨よけ、店舗の看板、周辺の環境などを全体的な構想に加えて行っており、人々に嘉義市の過去と現在を探訪出来るようにするものだと指摘している。「老屋卸妝」計画では今回、交差点の角、連棟式建物、歴史的スポット、観光スポットの8カ所の古い建物を選定して修繕を行っている。所有者は修繕が完了してから3年間、毎晩灯りをともしてそれら建物本来の美しさが目につきやすくすることが義務付けられている。
 

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